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【研究論文まとめ】マイクロプラスチックの原因と人体への影響

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こんにちは、世界の環境問題が学べるウミガメ日記です。

最近、マイクロプラスチックという言葉をよく聞くようになりました。

「プラスチックが魚などを通じて体内に入ってしまうと、体に悪そう」というイメージはあっても、私たちの人体にどのような影響があるのか、明確に理解している人は少ないと思います。

また、ネットで調べると「マイクロプラスチックによる人体の影響は嘘」というような記述も見つけました。

 

この記事では、

最近の学術論文を元にマイクロプラスチックの原因と私たちの人体への影響について調べた結果をまとめました。

 

この記事を読めば、

マイクロプラスチック問題について理解を深め、プラスチックが私たち自身にどのような影響を与える可能性があるのか理解を深めることができます。

うみがめ
太平洋はプラスチックだらけだよ。

 

マイクロプラスチックの問題と人体への影響

 

マイクロプラスチックは、プラスチック製品や食品、空気中に含まれ、直接体に取り込んだり、呼吸を通じて吸入することで、身体に取り込まれます。

マイクロプラスチックの人体への影響は、これまで研究が進んでおらず不明確でした。

結論から言うと、まだまだ人体に関する具体的な影響についてはデータ不足で、これからさらに研究を進めることが求められています

しかし、心血管疾患や呼吸器疾患、細胞やDNAの損傷など深刻な問題を引き起こす可能性があると示唆されています。

この記事では2021・2020年に掲載された最新の論文を元に解説していきます。

 

近年、大量のマイクロプラスチックが海洋に放出され、水道からも検出されて、注目を集めるようになっています。

海洋生物がプラスチックで死んでしまうと、生態系が崩れ、食や環境問題を通じて人間へ大きな影響を与える可能性があると研究者の間で懸念されていることは確かです。

 

参考文献

”Environmental exposure to microplastics: An overview on possible human health effects”, J. C. Prata, etc. al., Science of The Total Environment, 2020, Volume 702, 134455

”Microplastics and human health”, A. DICK VETHAAK AND JULIETTE LEGLER” SCIENCE (2021), Vol 371, Issue 6530, pp. 672-674

 

そもそマイクロプラスチックとは

 

マイクロプラスチックは、マイクロサイズ(1 マイクロメートルは1 ミリメートルの千分の1)というわけでなく、直径 5 mm 未満のプラスチック粒子または、プラスチック断片と定義されています。

つまり、大きなサイズのプラスチックでも、ある過程で小さく分解されてマイクロプラスチックになるということです。

例えば、私たちが普段使っているペットボトルのキャップが海に捨てられ、劣化して海に揉まれて断片になっていくと、マイクロプラスチックとなります。

このマイクロプラスチックは、人間由来のものがほとんどで、海洋に溢れていて、これからますますの海洋生物への影響が懸念されています。

 

この記事では、海洋生物や人間が食を通じて体内に入ってしまうような、マイクロサイズのプラスチックを主に取り扱っています。

 

マイクロプラスチックの原因

 

海洋に流れ込むマイクロプラスチックは、洗濯による衣類からの放出が一次的な原因の一つとして挙げられます。

2019年に Scientific Report に掲載された論文によると、洗濯中に放出されたマイクロファイバーは、洗濯された衣類 1kg あたり 124~308 mg つまり、640,000 から 1,500,000 個のマイクロプラスチックが放出されていると報告されました。

マイクロプラスチックは、洗濯機からフィルターを通過して海洋に流れることができるサイズで、長さ 360 から 660 μm、直径 12 から 16 μm と報告されました。

また、例えば、歯磨き粉にもマイクロプラスチックが含まれている場合があり、そのまま海に流れてしまいます。

 

参考程度に、髪の毛一本の直径が平均 800  μm 程度とされているのを考えると肉眼では確認しずらいサイズであることがわかりますね。

しかしながら、小さいほど体内のあらゆるところに混入しやすく、海洋生物に影響を与える可能性があると言われています。

つまり、生態系が崩れたり、魚介類を食べる人間にも影響がある問題だということです。

 

これらのプラスチックは、魚介類を通じて人間に体に取り込まれたり、また水道の水からもマイクロプラスチックを取り込んでしまう可能性もあります。

日常生活でも化粧品やプラスチック容器からもマイクロプラスチックが作られ、体内に取り込まれることもあります。

私は、エシカル商品やオーガニックにこだわって化学製品を使っていないものに変えたり、容器やコップもガラスものに変えたりすることで、少しでもプラスチック製品を使わないようにしています。

 

さらに、排気ガスなどの空気汚染によっても、数マイクロスケールの化学物質が空気中を漂い、人体に取り込まれる可能性もあります

ある論文では、呼吸によって室内の空気中に漂うマイクロプラスチックの影響が大きいことも報告されています。

また、大気のプラスチックは呼吸器官と消化器官の両方に人体的影響を与えうるとして懸念されています

 

参考文献

”A Review of Microplastics in Table Salt, Drinking Water, and Air: Direct Human Exposure“, Q. Zhang, etc., al.,  Environ. Sci. Technol.(2020) 54, 7, 3740–3751

 

マイクロプラスチックはどこから体内に入るの?

  • 水道水
  • 魚介などの海産物
  • 化粧品やプラスチック製品、ペットボトル
  • 汚染された空気

 

マイクロプラスチックの人体への影響

 

比較的大きなプラスチックは、体内に取り込まれも便と一緒に排出されますが、10 μm 以下の小さなプラスチック粒子が最も毒性が高いとされています。

一般的に、プラスチック粒子の大きさが小さい方が身体に至る所に入り込み、蓄積されるようになります。

10 μm 以下のマイクロプラスチックは、肝臓、腎臓などの臓器まで到達し、蓄積されていくと示唆されています。

数マイクロサイズの小さなプラスチックでは、心血管疾患や呼吸器疾患、肺がんによる死亡リスクの増加と関連があると報告されています。

さらに小さな 0.1 µm 以下の粒子は、細胞膜や脳にまで到達する可能性があり、人体への大きな影響が懸念されていますがはっきりとした結論はわかっていません。

これらのさらに小さなマイクロプラスチック、いわゆる、ナノプラスチックは、細胞損傷や炎症、DNA損傷など物理的な毒性や神経毒性、代謝作用などへの影響を引き起こす可能性があるとされていますが、人体での吸収や代謝についての理解がまだ進んでいないため不透明なままです。

プラスチックナノ粒子は脳や胎児への影響が懸念されているので、急速に研究を進めることが必要です。

 

さらに、ウィルスや病原体がマイクロプラスチックに付着し、感染を広げる役割をしてしまう恐れもあると報告されていて、間接的な人体への影響も危惧されています。

このように、直接的な被害だけなく、生態系は繋がっているので、環境に悪い影響を与える限り人間にもそのツケが回ってきます。

 

まとめ

 

衣類の洗濯を通じて膨大な量のマイクロプラスチックが海洋に放出されていることがわかりました。

また、比較的大きなプラスチックでも分解されてマイクロプラスチックとなったり、大気汚染として気中に漂っている場合もあります。

これらのマイクロプラスチックは、魚介類、プラスチック製品、水道水や空気中から私たちの体に取り込まれています。

 

マイクロプラスチックが与える人体への影響はまだ研究を進めているところですが、心血管疾患や呼吸器疾患のリスクがあり、さらに小さなプラスチックは細胞膜や脳にまで届く可能性があり、物理的にDNAを損傷する可能性があるとして懸念されています。

 

まだ明確なことはわかっていませんが、プラスチックが私たちにとって良い影響を与えないということは間違い無いと言っていいでしょう。

この記事が普段の生活スタイルを変えるきっかけになれば幸いです。

 

私たちにできること

・徒歩や自転車、電気自動車に切り替えるなどして空気汚染に加担しない

・プラスチック容器やペットボトルは、ガラスやステンレスの容器に変える

・プラスチックが使用された衣類の使用や購入を控える

・無駄な洗濯はしない

 

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