海洋汚染

【海外のプラスチック廃止政策】世界の海洋廃棄物の対策とは

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こんにちは、世界の環境問題が学べるウミガメ日記です。

世界ではプラスチックを減らす動きが急速に広がっています。

さて、日本のプラスチックに対する政策はどうでしょうか?

 

この記事では、

海外のニュース記事(2021年引用)や科学雑誌に掲載された論文を元に、海洋プラスチックの問題と各国の政策をまとめました。

学術論文から海洋に流入するプラスチック廃棄物が多い国を調べ、その国の政策をまとめています。

 

この記事を読めば、

海洋廃棄物の鍵を握る世界の沿岸国のプラスチック廃止政策について理解を深めることができます。

海洋プラスチックの規制が進む国や、なかなか規制が進んでいないが鍵を握る国についての現状を知ることができます。

 

世界の海洋廃棄物の対策とは

海洋プラスチックは、海に面している沿岸国の政策に強く起因しています。

2015 年にScience(サイエンス)に掲載されたジョージア大学による論文によると、2010年に沿岸国192カ国で約2億7,500万トンのプラスチックごみが発生し、そのうち480万トンから1,270万トンが海に流入していることが報告されています。

参考文献:”Plastic waste inputs from land into the ocean”, Jenna R. Jambeck, et. al.,, Science  (2015), Vol. 347, Issue 6223, pp. 768-771

 

特に、中国、インドネシア、フィリピンなど、私たちが住む東南アジアの影響は大きく、海洋に流出しているプラスチック全体の半分以上を占めていると言われています。

一方で、プラスチック包装を禁止することで逆に環境に悪影響が及ぶという見解もあります。

例えば、プラスチックの代替としてガラスを用いると重量が増すため、輸送に必要なエネルギーが必要になるからです。

この場合、エネルギー源となる石油燃料とも関係があります。

参考 Plastic packaging ban 'could harm environment' By Roger Harrabin BBC environment analyst 

 

また、海洋生物だけでなく。ヨーロッパ北部の海では約95%のカモメなどの海鳥からプラスチックが検出されたという報告があります。

参考 ”Monitoring plastic ingestion by the northern fulmar Fulmarus glacialis in the North Sea” Environ. Pollut., 159 (2011), pp. 2609-2615,

 

このように、私たちは一つの問題の解決が他の問題へ悪影響を与える可能性も考え、プラスチックが生態系全体に悪い影響を与えていることを認識しなければいけません。

 

苦しむのは未来の私たちです。

私たちは広い視野を持って、まずは世界で起こっていることや状況、最新のテクノロジーや製品について知識を深めるのが大切です。

 

この記事が世界の海洋廃棄物の状況を理解したり、勉強するきっかけになれば幸いです。

それでは、世界の国々の海洋廃棄物の対策について解説していきます。

 

コスタリカ

日本人にあまり馴染みがないかもしれませんが、コスタリカは、エコツーリズムの国として世界を牽引する存在です。

コスタリカにはウミガメもたくさんいるんだ。でも、ストローやプラスチックの袋と見つかることも。

 

2019 年には、国連から「Champions of the Earth」を受賞しました。

そして、カーボンニュートラルを目指して2021 年からプラスチック袋やペットボトル、フォークやナイフ、ストロー、マドラーなどを使い捨てプラスチックを禁止しています。

代替品として、海に流れても6ヶ月以内に分解される素材が使われます。たとえば、キャッサバでできた袋、サトウキビでできたボックスなどです。

 

カナダ

カナダもまた、2021 年 5 月にプラスチックは有害だとして、年内に使い捨てプラスチックを禁止する方針を宣言しました。

トルドー首相はプラスチック廃止に対してとても意欲的です。

現状では、年間約 300 万トンのプラスチックごみが廃棄されており、使い捨てプラスチックの約 9 % しかリサイクルされていません。

Oceana Canada の調査によると、国民の 95 % がプラスチックによる環境の影響を心配していると回答し、国民の意識の高さが伺えます。

 

ルワンダ

ルワンダは2009年からプラスチック袋やプラスチック製の包装を禁止しています。

もし、プラスチック製品を所有しているところが見つかると罰せられます。

国境ではプラスチックを所有していないか入国チェックがあります。

 

インド

インドでは道端のあちこちにプラスチックが捨てられてる印象

インドは2022年までにプラスチック製品を廃止する方針を固めました。

世界で一番多い人口を誇るインドでは、使われているプラスチックの量も膨大です。

海洋に流れ込むプラスチック廃棄物は、人口の多さと国の廃棄物管理システムによって決まるとされています。

50 万トンものプラスチック廃棄物が海洋に流れ込んでいると言われています。

 

第一段階 2021年9月

リサイクルするのが難しい、薄いプラスチック製の袋が廃止。

第二段階 2022年1月

プラスチック製のイヤホンや、飴やアイスの棒、装飾品などの製品が禁止。

第三段階 2022年7月

プラスチック製の皿、コップ、包装などが禁止。

 

中国

中国は、海洋に流れ込むプラスチックの量が最も多い国の一つです。

急速な発展を遂げた中国では、PM2.5 などの大気汚染問題も日本も影響を受け、話題になりました。

今では、テクノロジーや地球環境に対する考え方は進んでおり、2021年7月にはサーキュラーエコノミー5カ年計画を発表しました。

 

レストラン

2021年からレストランでのプラスチック食器の禁止されており、テイクアウトのためのプラスチック製品も2025年までに30%削減する方針です。

 

スーパーマーケット

2021年からプラスチック袋が禁止されています。生鮮食品のためのプラスチック製品は2025年までに廃止するとしています。

 

郵送や宅配便

プラスチックによる包装は、主要都市では2022年までに分解可能なプラスチックへの移行を行い、2025年までには中国全土に適用される予定です。

 

アメリカ

アメリカでは州ごとに規制が異なりますが、ハワイは海洋プラスチックの影響を受けています。

ハワイとカリフォルニアの間には、The Great Pacific Garbage Patch (GPGP) と呼ばれる海流によってプラスチックが蓄積されている場所があります。

その領域はテキサス州の2倍、フランスの3倍もの領域がプラスチックで覆われていると予測されています。

 

参考文献:Laurent C. M. Lebreton, et al., “Evidence that the Great Pacific Garbage Patch is rapidly accumulating plastic,” Scientific Reports 8, no. 4666 (March 2018)

 

カリフォルニアでは、2014年から使い捨てプラスチック袋の利用が禁止。

続いて、2015年にはハワイ、2019年にはニューヨークで使い捨てプラスチック袋の利用が禁止されています。

沿岸に面した10の州では、プラスチック袋が禁止されており、内陸の州ではプラスチック袋が使われているようです。

参考文献:State Plastic Bag Legislation (2021年8月引用)

 

ブラジル

南米の国から約32万トンのプラスチックが海に流出していると予測されています。

ブラジル・サンパウロでは、2015年にプラスチック袋が禁止され、2019年にはプラスチック製のストローが廃止されています。

 

その他、南米の国

アルゼンチンでは、2017年にスーパーでのプラスチック袋の禁止、

ウルグアイでも、2018年に製造と使用が禁止されました。

ペルーでは、2021年から使い切りプラスチック袋の利用を禁止するとしています。

 

インドネシア

インドネシアは海洋に流出するプラスチックの量がもっとも多い国の一つとして知られています。

ジャカルタやバリでは、すでに使い捨てプラスチック袋の利用が禁止されていますが、国内では全面的なプラスチックの禁止には混乱があるようです。

海鮮が豊富なインドネシアでは、海産物などを運ぶのにプラスチックの利用が根付いています。

ローカルマーケットでは、プラスチックに代替できるもの同時に提供することが必要です。

参考文献:Confusion, resistance as Indonesian capital starts single-use plastics ban

 

他の国においても段階的な政策を適用することで、国民の混乱や反発を避ける働きがあるのかもしれませんね。

 

フィリピン

フィリピンは、プラスチックを廃棄している主要国の一つとして認識されています。

多くの環境保全団体はフィリピンに対してプラスチック廃棄問題の改善を求めています。

フィリピンの下院は2021年7月28日に食品の包装の製造、輸入、販売を禁止する法案を可決しました。この法案は上院で可決される必要がありますが、その場合、プラスチック製のプレートやコップ、ラップなど4年以内に廃止されることになります。さらに、ストローやリサイクルしづらい薄いプラスチック製の袋などは1年以内に廃止される予定です。

 

フィリピンは国レベルで問題に向き合っている最中だという印象があります。

実際に完全に廃止するためには時間がかかりそうなので、一刻も早く可決して動き出して欲しいですね。

 

南アフリカ

半分以上の海洋プラスチックはポイ捨てによるものとも言われており、観光業の盛んな南部アフリカで顕著にみられます。

参考文献:“International policies to reduce plastic marine pollution from single-use plastics (plastic bags and microbeads),Marine Pollution Bulletin Volume 118, Issues 1–2, 118 (2017), pp. 17-26

 

南部アフリカ開発共同体(SADC)の加盟国 16 カ国すべてがレジ袋削減政策を発表されましたが、そのうち2カ国は政策を撤回、4カ国は議論している段階にあります。

具体的な実施が行われておらず、政策の有効性が疑問視されています。

例えば、アフリカ内陸国のルワンダは、2008年にプラスチック袋の国内製造、輸入、使用を禁止しており、先進国をリードする形で積極的にプラスチック廃止を進めている国もあります。

南アフリカも政策が進みつつありますが、これからの動きに期待したいです。

参考文献:“Single-use plastic bag policies in the Southern African development community”,Marine Pollution Bulletin Vol.3 166 (2021)

 

オーストラリア

オーストラリアでは急速にプラスチックの廃止が進んでいます。

州ごとに政策は異なりますが、例えば、クイーンズランド州では2021年9月から使い捨てプラスチックが禁止されています。

オーストラリア連邦政府は、国家プラスチック戦略(National Plastics Plan)を発表し、国家レベルでプラスチック廃止を進めていることが伺えます。

 

まとめ

世界全体で2025~2030年までに全面的にプラスチックを廃止する動きがみられますが、これから法案が可決されたり、まだ議論の段階にある国もあります。

段階的な政策で現実的にも見えますが、人口の多いインドや中国のこれからの動きに注目です。

また、人口が急激に増加しているアフリカの国々の政策もさらに重要になっていきそうです。

この記事では最新の論文や海外記事から集めた情報をまとめました。

日本でニュースを目にすることも少ないと思うので、少しでもタメになる情報をお届けできていれば幸いです。

 

まずは私たちの生活から変えていきましょう!

日常からエコバックを持ち歩いたり、地元で生産された包装されていない野菜を買ったりすることもできます。

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